二四節気「春分」
春分(しゅんぶん)とは
気温も上がり、ようやくうららかな陽気に心躍る季節となってまいりました。
桜のつぼみも膨らんで本格的な春の訪れを告げています。
今年は3月20日が春分の日。ご先祖様に感謝の意味を込め、お墓参りやお供え物をし供養を行います。
この日は西方の極楽浄土の思想、西に沈む太陽に祈りを捧げると功徳を得られるという考えに結びつき先祖供養の日となったといわれています。春分の3日前から7日間を春の彼岸としますので春の彼岸の中日とも言います。
国民の祝日でもあるこの日から4月3日頃までが季節の指標として使われる二十四節気の一つ「春分」で、春の中間に当たります。昼と夜の長さがほぼ等しく、この日を境に昼が長くなっていき本格的な春の訪れを感じられます。
行事食
牡丹餅
お彼岸のお供え物として春分の日には「牡丹餅(ぼたもち)」を食べる習慣があります。
お彼岸の季節の植物に由来しており春はこし餡で牡丹の花を表し「牡丹餅」、秋は小豆の収穫期で実の柔らかい粒餡で萩の花を表し「おはぎ」になります。
小豆の赤は邪気を払ってくれるという言い伝えがあり、春には収穫を願い秋には実りに感謝するための捧げものです。
季節の食材
アスパラガス
春から初夏のかけてが旬。ギリシャ語の「アスパラゴス」から春になるとニョキニョキと伸びる新芽を意味するといわれています。日本には江戸時代中期に伝えられ食用とされたのは明治時代のころです。
北海道開拓史により一般に広がっていったと言われています。肉料理の添え物やサラダなど多くの料理に使われています。
桜海老
透明な海老の体に春の光が当たると色素が透き通って桜色に見えます。薄赤色の桜エビはカルシウムが豊富で、特に静岡県の駿河湾は桜エビが生息しやすい環境で漁獲の時期は保護のため春と秋の年2回に限られています。干した桜海老はかき揚げや酢の物などが一般的ですが、小さな海老ながら甘みがあり生でも美味しくいただけます。
新玉ねぎ
玉ねぎはヨーロッパ(ペルシア地方)の原産とされ、日本に渡来したのは明治の初め頃。
疫病を防ぎ長寿に効果があるといわれています。
通常、玉ねぎは長持ちさせるため収穫から1か月ほど風に当て乾燥させますが、春先に収穫される「新玉ねぎ」は収穫後すぐに出荷するため辛みが少なく、瑞々しくて甘みもあり生食にも向いています。
桜餅
関東の桜餅はこし餡を小麦粉などの薄皮生地で巻いたもの、関西では細かく砕いた餅米を桜色に染めた道明寺粉で餡を包み蒸したものが多く、いずれも塩漬けの桜の皮を巻き、ほのかな桜の香りを楽しみながらいただく春の和菓子です。
浅蜊(あさり)
春と秋の彼岸の頃は潮の干満の差が大きく、潮干狩りなどが楽しめます。
あさりは海水の浅いところで漁ることから「あさり」と呼ばれるようになったとの説もあり、潮干狩りでおなじみの獲物です。
春は産卵期で身が大きく美味しい時期でもあります。カルシウム・カリウム・亜鉛・ミネラルなどが豊富です。
春分の京都の行事をご紹介します
はねず踊
3月の最終日曜日に随心院で行われる「はねず踊」。
平安時代、小野小町のもとへ通った深草少将の逸話にちなみ始まった行事です。
小野小町や深草少将に扮した少女たちは紅梅の枝をさした花笠を被り、道歌にあわせ華やかな踊りを披露します。
「はねず」とは薄紅の梅の色。随心院には梅林があり踊りはこの林に設けられた舞台で行われます。
人々は新たな季節の花を愛でつつ、春のひとときを過ごします。
この時期おすすめのお料理
天然鯛の桜蒸し
道明寺と桜葉の香りに包まれ、ふっくらと蒸しあがった鯛の身から立ち上がる桜の香ばしい香り。
ほろりとくずれる食感は京都の春そのものです。
深めの器に盛り、出汁のきいたくず餡とともにあつあつにしてお召し上がりください。
京都山城筍 春の若竹茶碗蒸し
筍の香りとシャキッとした歯ごたえ、シンプルな卵地と出汁の絶妙な取り合わせの茶碗蒸しです。
器に椎茸・丹波鶏・銀杏と卵地を流し、ふっくらと蒸しあげ、香しい京筍・鳴門若芽に花麩と木の芽を添えて春満載。滑らかな味わいと上品な香りで不意のお客様のおもてなしにも喜ばれる一品です。