24節気「立春」
立春(りっしゅん)とは
暦の上では春となりますが、東から吹いてくる春の風はまだまだ冷たく温度管理には注意が必要です。
2月4日~2月18日頃までの時期を24節気での「立春(りっしゅん)」といいます。
冬から春へと変わる24節気の最初の時節です。
寒さも峠を越し春の兆しが現れてくる頃で、旧暦ではここをお正月として新年の祝いをしました。
福茶(大服茶)
新年に無病息災を祈って飲む、若水(新年の朝に初めて汲んだ水)を用いて入れたお茶です。
平安時代(西暦950年頃)京都に疫病が流行った際、それを鎮めようとしていた僧侶の空也上人が「観音様に献上したお茶を飲めばよい」とのお告げのような夢を見て、お茶に梅干しと昆布をいれたものを民衆に振舞ったところ疫病が終息したとの言われから、大晦日・正月・節分に飲まれるようになりました。
初午
暦2月はじめの午(うま)の日を初午といいます。京都伏見に稲荷大神が鎮座した日に起原します。
「午」は南の方角で時間は正午、太陽が最も高く、日差しが強く一年のうちで最高の気運が高まる日とされています。
農耕の神様、 稲生(イネナリ)を語源とする「稲荷神社」へ立春が過ぎ今年の作物の豊作祈願し「稲荷詣で」をする風習から、これを「初午詣で」といい、米や野菜・酒等を奉納し豊作祈願をいたします。
今では商売も含めての豊作として、商売繁盛も祈願します。
初午大祭
毎年2月初午の日に京都市伏見区にある伏見稲荷大社で行われます。
稲荷大神の神威を崇める大祭です。稲荷信仰は農事に深くかかわり、その年の五穀豊穣を祈り油揚げや赤飯を供えます。
畑菜
冬の京野菜「畑菜」と稲荷神社の使い狐が好物の「お揚げ」を和えた「畑菜のからし和え」は、 初午の日に食べる京都の古くから続く風習です。
稲荷寿司
稲荷寿司は初午祭で稲荷神社に捧げるお供え物に由来します。
農耕の神である稲荷大神がもたらしてくれた米を炊き、酢飯にして油揚げに詰められるようになりました。
狐の好物は本来小動物でしたが殺生をしないようにとの考えから穀物の大豆に置き換わっていきました。
針供養
日々の針仕事を休み1年間お世話になった道具の供養をする習わしです。
事始め・事納めのとらえ方により2月8日に行う地域と12月8日に行う地域があります。
使えなくなった針を豆腐や蒟蒻等に刺し神社に納めると、裁縫が上手になるといわれています。
季節のお料理
鶯餅(うぐいすもち)
こし餡を求肥で丸く包み端を少しすぼめて鶯の形にし、青えんどう豆を挽いた粉をまぶして鶯色(淡い緑)に仕上げた和菓子です。
発祥は奈良県の老舗和菓子店で店主が豊臣秀吉公の茶会に献上した祭、大変気に入られ以来この菓子を「鶯餅」とするよう御銘を賜ったとの由来があります。
蕗の薹(ふきのとう)
雪解けの土から春一番に顔をのぞかせる蕗の薹。
まだ固い若芽には独特の香りとほろ苦さがあり、天ぷらや蕗味噌、和え物などで食します。
また、ビタミンE・ビタミンK・カリウム・銅などが含まれ、冬に動きの悪くなった消化器系や血流を良くし身体にエネルギーを与えます。
さやえんどう
さやは鮮やかな緑でビタミンC・カロテンが豊富な緑黄色野菜です。
エンドウ豆の若いさやの味わいは春らしい爽やかな食感を楽しめます。
葱(九条ねぎ)
葱はさやの部分が白くて長い「根深葱」と緑の葉が長い「葉葱」があります。
関東より北では寒冷のため葉葱が育ちにくいため、甘みのある肉厚の根深葱が主です。
また、西日本では香りのよい青い葉の部分が好まれています。
葱は各地で一年中出回っていますが、京野菜の「九条ねぎ」は底冷えする京都の霜に当たり、ぬめり・粘り・甘みが増す冬が最高です。
この時期おすすめの料理
九条ねぎのだし巻き
京野菜として冬は鍋物でも活躍する九条ねぎ。
京都市南区九条地区が生産地であったことからこの名がついたそうです。
ボイルして塩をした九条ねぎを玉子に巻き込んで、だし巻きを作りました。
ほのかな、ねぎの辛味と自慢の出汁で風味豊かに仕上げています。